生物層をなるべく豊かに保ち、小生態系のバランスをとる

夏のビオトープ散策で一番印象に残る昆虫が蚊だったりするのは困ったものです。目黒自然教育園ではひどい目に、深沢共生住宅の方たちは、ほんとにお気の毒でした。ところが、深大寺植物公園の湿性植物園では大したことも無かったかと思えば、高尾山ではほとんど刺されなかったりするのはなぜでしょう。

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一種類の生物が大発生するのは生態系のバランスが崩れている証拠。これはビオトープ・ガーデンでも同じこと。とは言うものの、庭先のミニ生態系では多様性の維持は大変。とかく単調になりがちです。毛氈花壇のように少ない種類をどっさり植えるのではなく、たとえばイングリッシュガーデンのナチュラルスタイル風に多種少数を心がけるように注意しましょう。 植物層が豊かになれば、そこに生活できる天敵たちも 豊富になります。このことは蚊に限ったことでなくほとんどの害虫の大発生をくい止めるうえで、大切なことです。

蚊が嫌う植物を植える

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ユーカリ、スイートバジル、カレンソウなどが出す香りには蚊が嫌いな成分が含まれています。 鉢植えにして窓辺に置けば蚊の侵入を防ぐことができますし、庭に植えて庭仕事の時に軽く揺さぶって香りの成分を放出させれば、虫よけスプレーの代わりにもなります。

現にイタリアでは、窓という窓に必ずと言っていいほどバジルの鉢植えが飾ってあるのだそうです。米国では同じ目的で、ペニーロイヤルミントやサザンウッド、ミント、タンジーなどの鉢を窓辺におきます。手足に葉っぱを軽くこすりつけたり、もんだりしてからポケットや帽子に入れておけばさらに効果 的です。

また、乾燥させたラベンダーの束を窓辺においたり、家の中に侵入した蚊を干したミカンの皮や杉の葉に火をつけていぶり出す方法も。

カレンソウって?

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ところで、カレンソウ(蚊蓮草)という植物は、形質導入と呼ばれるバイオテクノロジーのテクニックで、人工的に創られた植物だということはご存じだったでしょうか。この頃ではカコロンという新商品も安く出回っていますが、効果 に差はないようです。

ローズゼラニウムという南アフリカ原産のハーブの一種に、シトロネラという植物が持っている、蚊がいやがる匂い成分を造る遺伝子を加えたものなのです。

この匂いの成分は人体に何の害もありませんし、それ以外の性質は全くローズゼラニウムと変わりません。だから、伸びすぎた枝を刈り取ってお風呂に入れれば、お肌もすべすべ。ドライにしてポプリにも利用できます。

シトロネラは、タイ料理でおなじみのレモングラスに近い熱帯アジア原産のイネ科の植物で、虫避けスプレーの原料に利用されてきました。植物が蚊に刺されない工夫をしているというのも、不思議な気がしますね。

池や睡蓮鉢にはヒメダカなどの小魚を放す

水辺の環境についてはトンボの庭のところでまた詳しく説明しますが、ボウフラを食べてくれるヒメダカなどの小魚を放しておくことが大切です。ただし、魚に餌はやらないこと。また、ボウフラは流水には発生しにくいので、近くの水路などが発生源の場合、流れをよくするように流路内の掃除をすることも大切です。

竹藪などの発生源が近くにあるときは、竹の切り株に水がたまらないように、鉈などで縦に割れ目をいれておきましょう。