余白を楽しむ

明るく乾いた場所に、ロックガーデンを作るのも楽しいものです。一見ただの荒れ地のような場所でも、意外や、そんなところばかりを好む生物も多いのです。日当たりの良い場所なら、寒い季節にも様々なお客様がやって来ます。庭の規模にもよりますが、背の低いハーブや宿根草や球根類を主役に植えっぱなしにしておくと、手間がかかりません。先代様からの庭石なんかを流用するのも手ですよね。

ロックガーデンと言うと、つい岩山に生える植物、たとえば高山や砂漠の植物を思い浮かべるかもしてませんよね、でも、意外と河原に生えてる植物は忘れてるんじゃないかなあ。

ロックガーデンには色々な様式があります。主に岩生植物を中心に植え込みますが、湿原や土上に植える植物でもロックガーデンに適するものであれはどんなものでも良いわけです。ロックガーデンは一見砂地の中に適当に岩石を配置しただけのように見えますが、本格的なロックガーデンの場合、実はこの砂の下は約1メートルほど掘り下げられていて、下にはゴロ石、瓦が2層に分けて積み重ねられ、その上に日向砂が置いてあるんです。このような仕組みを作ると通 気性がよくなり根が常に冷やされている状態になるので高山性の植物など夏の暑さに弱い植物であっても十分栽培することが可能になります。

ただ、ここでは本格的なロックガーデンを作ろうと言っているわけではありません。簡単に作れるロックガーデン風のビオトープ・ガーデンが、どんな機能を持っているかをかいつまんで紹介しようと思います。

実家の軒先に創った  ロックガーデン風 ビオトープガーデン

雨がはねて壁が汚れるのも防いでいます。暖かい季節には、裸足で歩いても気持ちがいい。大きな石ころは庭を耕したときに出てきたものを利用しました。買ってくるよりも自然な仕上がりが楽しめて一石二鳥かな。はやりの多孔質空間とも言える状態なので、雨水も速やかに吸収されます。煉瓦のブロックの下に砂を敷いてその周りに3mm、6mm、9mmの伊勢錆をランダムに混ぜてばらまく。砂を多めにすれば、多湿に弱く梅雨時に枯れやすい草を育てることも出来ますね。場所に余裕があるのなら、石をいくつも積み上げて起伏を付ければ、トカゲなどの小動物の隠れ家にもなります。庭の不快な虫たちを食べてくれるはずです。

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写真には矮性ブッドレア、エリカ・ワーガンス、シルバータイム、ゴールデンタイム、斑入りカキドオシ、ブラキカム、ツルスミレ、ホタルカズラ、ブローディア、ブルーフェスキューなどが写 っています。このように様々なグリーンを組み合わせて植えれば、花が無くても冬場でも楽しめます。でも、スイートアリッサムのような1年草をあしらっても華やかさが増して楽しいでしょう

その他の植物としてはアジュガやセダム、ギンパイソウなどを組み合わせるのも良いでしょう。なるべく生育時期や開花時期の異なるものを組み合わせるのがポイントかな

ロックガーデン風の主 カワラバッタ

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道ばたや荒れ地、河原など、石ころがごろごろしているところを好みます。時にはコンクリートのたたきや、写 真のように石畳の上でくつろいでいることもあります。そんなわけで、意外に市街地で良く見かける昆虫なんですよ。よ~く見ると、なかなか愛嬌のあるやつなんです。目立たないけどね。

タテハチョウの仲間は移動距離が大きく、それだけにどこでも見られる昆虫の仲間としてあげられることが多いようですね。この仲間は成虫のまま南斜面 の落ち葉の中で冬越し、風のない日には元気に飛び回り、日溜まりの石の上などで日光浴としゃれ込みます。体温を太陽の熱で、十分暖めないと飛べなくなってしまうからです。

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キタテハが日だまりで羽をゆっくり開いたり閉じたりしています。
小春日和に空き地などでよく見られる風景の一つです

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ヒメアカタテハのひなたぼっこ。冬眠の途中で飛びだしてきたヒメアカタテハやキタテハは、おなかもぺこぺこなはず。野原のタンポポの蜜を吸ってきているはずですが、せっかく来ていただいたんですから、ユリオプスデージーやラベンダー・デンタータ、ローズマリーなどといった、冬場に良く咲く花を植えておきましょう。もちろん1年草のビオラやスイートアリッサムなども、蜜が多いのでお勧めです

このほかに成虫で冬を越して、住宅地でも見かける蝶の例としてはモンキチョウがあげられます。幼虫は団地や公園の芝生に生えたクローバーを食べるので、都市部では最近良く見かけるようになりました。

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春のはじめのハラビロトンボ。羽化したものの、朝夕はやっぱり寒い、そこでこんな風に集まって体を温めてからのご出勤と相成るわけです。小さな池やトンボ用の睡蓮鉢を用意しておけば、赤とんぼなら秋口に山から下りてきて庭先でひなたぼっこしてくれるはずです

ロックガーデン風ビオトープガーデンで冬越ししてくれる昆虫としては、このほかにテントウムシがあげられます。日溜まりの一角に落ち葉を貯めておくと、さらにいろいろな生物がやってきてくれるはずです。

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セキレイは、空き地や河原が好きな鳥の代表。最近では都市部の暮らしに適応してか、駐車場にいたり、駅前などで大きな群を作るようになったのを見かけることもある。都市部で増えてきた鳥の一つ。でも元々は単独行動の目立つ鳥。ちょこちょこ歩きながら、しっぽを上下に振るのが特徴。冬の河原の、石の上でのこの仕草は印象的。「この川の石がみんな丸いのは 私の尻尾でたたいたからよ」とは、三好達治の伝