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ビオトープ(biotope,biotop)はドイツで生まれた言葉で、『ビオ』はBIO=生命、『トープ』はTOPE,TOP=場所をあらわすラテン語、この二つの言葉を組み合わせた造語が『ビオトープ』です。意味は『野生生物のための生息空間』。

日本でも、失われた生息地を生物たちに取り戻すための自然保護活動の一つとして導入され、十年くらい前から身近な自然の復元が盛んに行われるようになってきました。主に都市部での活動が盛んなのは、いうまでもないことです。最近では、生物群集の生息場所の確保を意図して造られた公園や緑地なども、ビオトープと呼ぶことが多くなってきています。

経済一辺倒だった社会構造が自然にもたらしたのは、環境破壊というツケでした。複雑で多種多様な生態系を維持してきた原っぱや湿地、雑木林は、豊かさの象徴のように管理しやすいだけの公園やビル群に姿を変え、そこに棲んでいた野生動植物から生息地を奪ってきたのです。

日本ではなぜか 、ビオトープと言えば、申し合わせたように「湿地や池」、「草地」それに「林」の3つの環境が、必ずと言って良いほど1つのセットになって造られています。一見なあんにもないように見える裸地や荒れ地、それに裸の崖も立派なビオトープ。そんな環境でなければ生活できない生物も少なくはないのです。でも、そんな生物たちのためのビオトープは、日本ではまだ造られていません。

何故でしょう。

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空き地で餌をついばむスズメたち

東京都に問い合わせてみるといろいろ面白いことがわかります。これまでに都内に造られているビオトープは、トンボのための、螢のための、それに野鳥のための場所が大半なのです。目立たない植物のためのビオトープは、水生植物を除くとほとんどありません。理由を訪ねてみると、予算が取りにくいからとのこと。やはり人目を引く生物がいたり、一見してビオトープとわかるような外見を保っていないと一般 の人にアピールしにくいと言う訳なのです。私達も、もっともっと自然保護に対する理解を深めていかなければいけませんね。