ビオトープ・ガーデン
それは、 私たち一人ひとりでも始められる自然保護

nioitatitubo

通勤の途中、道ばたのアスファルトの割れ目から意外にも菫が一輪、春を告げているのに気づいたことはありませんか。そして、その花の咲いている場所がかつては畑の中の一本道で、ほんの30年ぐらいの間に家が建ち、舗装され、林がなくなり、キジが姿を消し、それでも毎年そこで春を告げてきただなんて、想像してみたことはありませんか。

落ち葉がうっとうしいからといって、つい先日切り倒されたケヤキの樹は、その家が建つ150年前、このあたりが美しい武蔵野台地だった頃からそこにただずんでいただなんて。それから、ブロック塀の下のジャノヒゲやイヌワラビ。サザンカの生け垣の中のメジロやウグイス、ヒヨドリ、シジュウカラ。ベランダの花に思いがけなく飛んできたモンシロチョウやシジミチョウ、ミツバチ、ハナムグリ、テントウムシ。それからそれから、モグラやコウモリ、ヤモリ、トカゲ、カタツムリ、ガマガエル、アメンボにカルガモ。
町なかに残された自然のかけらの中で、彼らも何とか生きていこうとがんばっているのです。じつは、都内でさえも、見かける野生の生き物たちの種類が意外に多いのを、もうお気づきですね。

だから、私たち一人ひとりでも始められる自然保護の一つとして「身近な野生の生物と私たちが、もっと仲良く生活できる庭」を考えてみました。それがビオトープ・ガーデンです。でも、「小鳥たちはかわいいけど、カラスやドバトはイヤ!」、「トンボやチョウチョは来て欲しいけど、イモムシやカはどうもね」、「野良猫のイタズラってどうにかならないの?」という方たちのためにもいくつか工夫をしてみました。身近な自然の生き物たちと、もっと上手に仲良くできるといいですよね。

あなたの庭に、ベランダに、少しの緑と、ささやかな水飲み場と、餌台と。たったそれだけでも、あなたの窓辺は「生命のゆりかご」に変るはず。ちょっとしたくふうや気づかいで、身近な生き物たちともっと楽しく、もっと親しく、一緒に生きていけるはずです。そして、もっと大事なのは、そんな窓辺の小さな自然のかけらをつなぐ、生け垣や街路樹、道端の雑草、川沿いの土手、公園や神社の森、たんぼや畑や山や河や海。窓辺のゆりかごをつなげて大きな生命のハンモックにする、あなたの身の回りの自然をもっと豊かに育てることです。

ビオトープ・ガーデン。それは、日本から世界へ発信する21世紀への贈り物。