大地を破壊する草取り作業

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2007/5/15

まず、これを見てもらいましょう。ここは、斜面地の花壇の春の様子です。

前の年にはマリーゴールドやサルビアなどが一面に植えられていた場所で、秋の終わりに全て抜き取られて雪の下になっていました。

雪解けと同時に、裸の地面は雨でえぐられ、春先の強風で砂埃となって、1月足らずの内にどんどん表土が失われてしまい、このあと石ころだらけの荒れ地になってしまいました。

まさに農業による砂漠化の縮図を目の前にしているんですね。

ここで注意してみて欲しいのは、花壇の周りの雑草に被われた場所です。土壌が失われている様子はありませんよね。つまり、地面を裸にしておくことが、土地を荒れさせる一番の原因だと言うことが解ると思います。

ポイントをまとめると

  • 過剰な雑草取りは、土を傷める原因でしかない

ついでに言うと、マリーゴールドは、抜き取らずに鋤き込めば ネコブセンチュウ類を撃退するにはとてもよいアレロパシー作物で、そう言う意味でもこれまでの管理はとても勿体ないことをしていたと言わざるを得ません。

参考

この花壇は、これまで毎年のように多量の堆肥をすき込み、重機で掘り起こしてはならして花壇にしてきました。 僕はこの無駄な労力と費用を何とかしたかったので、ちょっとした実験をしてみたんです。

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2007/6/18
写真は、ゲレンデ下部にある斜面で、4種類の管理方法をしていたエリアです。

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2007/6/18
左上の花盛りのエリアは、前年の秋に除草された場所で、晩春に選択的除草でオオアレチノギクやオオブタクサなどを抜き取った後は雑草取りをしなかったエリア。
前々年度に蒔かれたワイルドフラワーのこぼれ種から、見事な花壇になりました。
手前の下側は牧草が植えられていた所で、オオアレチノギクなどの帰化植物だけ選択的除草し、クサギやノリウツギの苗を植えたエリア。
階段から向こうの上の方がこの年2度目の草取りをしたエリア。
右下が、春に1度だけ草取りをしたあと蕎麦を蒔いたエリア。

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2007/6/18
階段の向こう側の草取りをしたエリアを、もっと良く見てみましょう。
上段 、2度目の草取りをしたエリアは、見事に何にも生えてないですね。
下半分の蕎麦畑も、タンポポなんかが地面を覆ってますが、結構殺風景ですね。
草取りをする前までは、花だらけのエリアと同じように、ハナビシソウやヤグルマギクの苗がたくさん育ってたんですけどね、無差別に全部抜いちゃったあとで再び帰化植物が茂り始めたところだったんです。
あぁ、なんてもったいないことを!
上手に草取りすれば、去年よりも綺麗な花壇がただで創れたのにねぇ。

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2007/8/3
さっきとは反対側から取った写真です。
徹底的に草取りをしたエリアは、なんと見事に雑草(メヒシバやイヌビエ)で埋もれてしまいました!
蕎麦もすっかり隠れてしまったので、結局このあと蕎麦もろともに3回目の草取りをして、夏休みの一番賑やかなときにはなんにも生えていない裸の土地をさらすことになってしまいました。
向こう側の花盛りのエリアが、選択的除草をしたところです。
抜いても抜いても抜いても抜いても、雑草が生えてくる。
ギャップ依存性って言って、裸の土地が現れると土の中で眠っている種子が目を覚ます、そんな雑草の種が土の中にどっさり仕込まれて居る(シードバンク)んですから、草取り=雑草の発芽促進になってるんですね。
抜いたあと雨が降ると土が流れる、風が吹けば表土が舞飛ぶ。
あぁ、悪循環。 涙
と、言うわけで、ポイントをまとめると。

  • 多くの雑草、特に畑雑草は シードバンクと呼ばれる休眠種子のストックを土の中にどっさり仕込んでいる。
  • ギャップ依存性の雑草は、裸の土地が現れると土の中で眠っている種が目を覚ます。
    つまり、草取り=雑草の発芽促進になる。

さて、それではこの悪循環を断ち切るには、一体どうしたらいいのでしょうか?