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鳥たちが集う庭。実のなる木を植えよう
庭に実のなる木を植えたり、巣箱をかけたり、水場を設けることで、 徐々に小鳥たちはやってきます。ただしすぐにではありません。 小鳥は最初警戒心でいっぱい。気長に待つとあとはもう大丈夫。 さえずりが聞こえたら、そっと小鳥との出会いを楽しんで下さい。
冬場だけ利用したい 鳥の餌台
野鳥に甘やかしは禁物です。
基本的に餌台の活用は冬場だけにした方いいでしょう。餌台にパン屑などを置けば、鳥はくるかも知れません。でも野鳥たちはそこで生活するわけではありません。
鳥は学習能力を持っていますから、つい餌台をあてにしてしまいます。あなたがちょっとした旅行に行っている間に野鳥たちが路頭に迷ったりというのも、困りもの。ですから、できるだけ自然の恵みである実のなる木や草をたくさん植えた方が、結果 的には鳥たちのためなのです。
でも、餌が少なくなる冬には、少しだけお手伝いしてあげましょう。
餌はナッツ類や果物、穀類など。鳥が自然の中で食べているものを、食べやすい形にしてあげることが大切です。ただし、殻なしの小鳥の餌やハト用を置くとドバトばかり集まってしまいます。必ず殻付きをあげましょう。
よく、餌台にスズメがくるのを嫌う人がいます。でも、スズメは警戒心の強い鳥なので、ほかの鳥たちは彼らがいるのを見て安心してやってくるようになるのです。やさしく見守ってあげましょう。
殻付きピーナッツはシジュウカラの好物ですが、塩分のないものをあげるように注意してください。食べやすいように殻の両端を切っておくと親切かも。ラードやヘットをシジュウカラのためにあげる人もいますが、カラスの好物でもあるので、やめておいた方が無難でしょう。
小麦粉2、マーガリン1、砂糖1の割合で造ったバードケーキも大好物。餌台の設置は巣箱と同じで、ネコに荒らされないように地面 から最低でも1メートルは放します。
メジロやウグイス、ヒヨドリのためには、カキやリンゴ、ミカンなどを切ってあげるとよいでしょう。ジュースを小さなコップに入れて餌台に置いておく人もいるようですね。
鳥の水場 を作る
鳥の水場は、鳥が餌場にいる時よりもっと無防備になる所です。鳥自身もそれを知っているので、安全が保障されている所にしかやってきません。ですから、できるだけ見通 しのいい明るい場所に設置したいもの。そういう点ではマンションのベランダなどはネコという外敵がこないので、意外に多くやってきます。餌台を置くより水場を設けたほうが鳥の集まる確率は高いようです。鳥が多いと困るのがフンの問題。物干し台の近くに餌場を作るのは、考え物ですね。
でも汚れに嘆くより、いろんな鳥から排出されたフンには様々な種子も混じっていますから、いつか芽を出す謎の植物に期待してみてはいかかでしょう。大事に育てれば、あなたのベランダもさらに一歩、すてきなビオトープ・ガーデンに近づきます。
鳥の水場は、水飲み場であると同時に浴槽です。水浴びすることで、羽根の中の虫やゴミを落とします。小鳥がすべらないように石を入れるなどして浅めにすることが大事。 毎日忘れずに水を交換しましょう。そして、なにより気長に待つこと。たいていは1~2週間ぐらいで、小鳥たちが遊びに来てくれるはずです。
実のなる木を植える
鳥にとって木は、エサにもなり、棲み家にもなる大切なもの。特に食料としての木の役割はとても重要です。花や密を食べることもありますが、なんといっても実のなる木が一番人気。実を食べるといっても、果 肉だけを食べて、種を排出する場合もあれば、種子が好物という場合もあります。いずれにしても実のなる木を植えることが、小鳥を呼び寄せる第一歩と考えましょう。
高さが違う木を植えれば、庭に来る鳥の種類が多くなります。 中形のヒヨドリや、カケス、オナガなどの用心深い鳥たちは、大きめの木があれば、上の方にとまって、辺りの様子をうかがいながら徐々に降りてきます。一方で、外敵に襲われる危険の多い小鳥もつねに緊張感を持っています。松やノイバラなど先の尖った樹木や、枝がたくさん交差している木があれば、敵から素早く逃げ込むことができるので、庭に余裕があれば、実 のなる木と一緒に植えてみて下さい。メジロやウグイスなどは特に密生した藪を好みます。
サクラの蜜をスズメが盗んだあと。
花の付け根をつまんでしまうので、授粉の役には立たない。都心から
郊外へと新しい習性が広がっていくのを観察するのはおもしろい。よく見ていると、
スズメに混じって移動している他の鳥たち(混群と呼ばれる)も、まねをしている
でも、まさか庭の真ん中にざわざわと藪を作るわけにも行きませんね。庭の面 積に余裕があるなら、数種類の樹種を組み合わせて作る混ぜ垣がおすすめです。なるべく異なった時期に花や実が楽しめる組み合わせを工夫しましょう。
鳥たちにとって、木そのものはただ単に食べ物という存在だけではなく、羽根を休める休息所であり、身を隠す、あるいは巣としても活用する大切な場所なのです。鳥が遊びにくることで気付く楽しい発見です。
ベランダでも 野鳥が呼べる。エリアの植生調べ
では、どんな木を植えればいいのでしょうか。まず大切なことは、今住んでいるエリアにどんな木が多く自生または植えられているかということです。特に実のなる木を念入りに見て回るといいでしょう。近くの公園や、ご近所の庭などは重要ポイントです。散策途中で出会う鳥のチェックも忘れないようにします。
主な好み | 鳥の種類 | 植物たち |
---|---|---|
フルーツ派 | メジロ、ウグイス、ヒヨドリ、ムクドリ、ツグミ、ジョウビタキ、オナガ、ヒレンジャク | 赤や黄色の実 高木 ヤマボウシ、ハナミズキ、ヤマモモ、カキ、ソヨゴ、クロガネモチ、シロダモ、エノキ、ウワミズザクラなど 低木 イチイ、マサキ、ズミ、カナメモチ、ノイバラ、ウメモドキ、アオキ、ガマズミ、ピラカンサ、ナンテン、フサスグリ、ユスラウメ、ウグイスカグラ、センリョウ、マンリョウ、クコ、グミなど 蔓、半蔓性 ツルウメモドキ、ラズベリー、ツルグミ、ミニトマトなど グランドカバー ヤブコウジ、ベニシタン、コトネアスター、イチゴなど |
黒や青い実その他高木 ムクノキ、サクラ、タブニキ、クサギ、ミズキ、シュロ 低木 ブラックベリー、ブルーベリー、クワ、ネズミモチ、シャリンバイ、イチジク、イヌツゲ、ヒサカキ、ヤツデ、タラノキ、ムラサキシキブなど 蔓、半蔓性 ブドウ、ツタ、アケビ、キウイなど グランドカバー ヤブラン、ジャノヒゲ、アイビーなど | ||
ナッツ派 | メジロ、ウグイス、ヒヨドリ | モクレン、コブシ、サクラ、ツバキ、サザンカなど |
虫派 | コゲラ、シジュウカラ、ジョウビタキ、ムクドリ、ツグミ、アカハラ | 枝に潜むクモやイモムシ、ガやチョウ、場合によっては草花についたアブラムシ、それに芝生や落ち葉の下に隠れているミミズやコガネムシの幼虫などを食べる |
植生が分かったら、実際に苗を植えてみましょう。ほとんど園芸店か造園屋さんで手に入ります。ベランダしかないという方でも木をプランターなどで植えれば大丈夫。その際は一本だけではなく、数本用意した方が、鳥たちも安心してやってきます。ご近所には冬場に実を付けるものが多かったら、「我が家では初夏から楽しめるスグリやラズベリー、グミなどを植えてみよう」などと、作戦を練るのも楽しいものです。
各家庭が一本でも木を植えていけば、それだけで、緑の回復に関わることもできますね。
巣箱をかける
巣箱を利用する鳥は、もともと樹洞(キツツキが穴を開けた古巣など)に巣を造る種類です。都市部ではシジュウカラ、ヤマガラ、スズメ、ムクドリなどがその代表選手。
木の穴に巣造りする都会の鳥たちは、こういう手ごろな穴のあいた古木がもともと少なかったので、瓦の隙間などに巣を造っていたのですが、マンションや洋風建築が増えたおかげで、それも困難になってきました。つまり、住宅難で困っているというわけです。その上営巣場所の減少が巣をめぐる争いにまで発展して、小鳥たちの世界も大変です。そこで人間がお手伝いをするというわけです。
巣箱は、巣穴の大きさによって、利用する鳥が違ってきます。例えばシジュウカラの場合は2.8センチ以上で2.9センチ未満。これ以上にすると、スズメが侵入してシジュウカラを追い出すことがあるためです。このサイズであれば他にヒガラ、コガラなども利用します。スズメ用の巣箱は別 に用意してあげましょう。取り付け場所は、ネコや蛇が来ないよう、2メートル以上の高さが必要です。
マンションの軒下でも壁側に実のなる木などと共に設置すれば大丈夫です。都会の鳥は人間をカラスよけのガードマンに利用することが多く、商店街の街路樹などにさえ巣を掛けることも多くなっています。目隠し用の樹木の鉢植えなどを置いておけばかなりの率で巣を作ってくれたり巣箱を利用してくれるようです。
スーパー前の低い街路樹に作られた
ヒヨドリの巣。人間をカラスよけの
ガードマンに利用することが多く、
わざと人通 りの多いところを選ぶよう
になった。ビニル袋や新聞紙なども
使った苦肉の策。でも、内側は
ふかふかでした。さすが
友人の会社のベランダでも、置きっぱなしになっていた植木の部屋側からは丸見えの位 置にヒヨドリが巣を作り、巣立ちまで無事に観察したそうです。
巣箱をかける時期は、野鳥が繁殖期を迎える春の数カ月前、10~12月がいいでしょう。何にも入れずに空っぽのままかけること。
ネコの気配のない庭なら、2メートル程度の高さでも大丈夫。部屋からのぞける位 置において、子育ての様子を観察するのも楽しいでしょう。 材質は杉板などで、かんなをかけていない通 気性のいい板がベスト。特に屋根は小鳥が始めにとまる所なので、ざらざらのままに。 巣シーズンオフに箱を掃除するための扉も忘れないで。
最近めっきり個体数の減ったスズメ
木の穴に巣造りする都会の鳥たちは、手ごろな
穴のあいた古木がもともと少なかったので、瓦の隙間
などに巣を造っていたのですが、マンションや洋風
建築が増えたおかげで、それも困難になってきました。
つまり、住宅難で困っているというわけです
巣箱の向きはどの方角でもOK。明るく乾いた場所の方が、ゴキブリの巣にならずにすみます。カラスにヒナや卵を取られないよう、屋根があかない工夫や、穴の高さ、補強も大切。雨や風が入らないよう、やや下向き加減にするのもポイント。
トンボが飛ぶ庭。穏やかな水辺のコーナー造り
あなたが住んでいる周囲でトンボを見かけたら、適切な水場を造ることで、 庭先でトンボの飛ぶ風景を楽しむことができます。 池を造る必要なんてありません。水鉢がひとつあれば、マンションのベランダでも大丈夫。
雨上がりに出来た道路の水たまりに尻尾をチョンチョン浸けながら飛んでいるトンボを見たことはありませんか。ムギワラトンボ(シオカラトンボの雌)や夏の終わりに山からおりてきたアキアカネ。一頃ほんとに見かけなくなったのですが、最近では減反政策で休耕した水田跡地で繁殖したトンボたちが、町中に迷い込んできて、産卵場所が見つからないためにアスファルトの上に出来た水たまりに産卵してしまうのです。
もし、あなたの庭やベランダに池を作るのは無理だとしても、スイレン鉢を一つ置くだけで気の毒なトンボたちを助けることができるのです。
トンボの仲間は縄張りを主張する種も多いので、あなたの庭に住み着くことも多いのです。我が家ブランドのトンボなんていかがですか?
- 素焼きのスイレン鉢
- 直径50cm前後 中仕切り用の小枝
- 直径前後の長さ、ふとさ1~4cm
- 小石(伊勢錆などの表面がざらざらの物がよい)1/3袋程度
- 水草
日なたなら、クレソン、ガマ、アシ、イグサ、スイレン、ミソハギ、クワイ、パピルス、フサモなど
日陰なら、フイリゼキショウ - ヒメダカ10匹前後
- タニシまたはモノアラガイなど2匹以上
- 好みでヌマエビなどもOK
ご近所のトンボ事情を調べる
トンボは幼虫(ヤゴ)の時代を水の中で暮らし、羽化すると多くの種類は、一旦水辺を離れ林や原っぱで暮らします。そして繁殖期を迎える頃に再び水辺に戻り産卵するのです。
庭にトンボを呼ぶためには、まずトンボが周囲にいるのを確かめなければなりません。アキアカネのように、高い山まで長距離移動する種ばかりなら良いのですが、多くは縄張り周辺を行ったり来たり。近くにトンボがいないと呼べないのです。
なるべく素焼きの睡蓮鉢を使う
確認ができたら、水辺を造ります。まず、直系50センチ、高さ20センチ程度の、できれば素焼きの水鉢を用意し、小石を入れます。
素焼きは表面 からたえず水分が蒸発するので夏の日向でも水温が安定するからです。
小石は少しでも十分ですが、伊勢錆の様に表面 がざらざらしたものがベスト。こういった石にはバクテリアがすみついて有機物を分解し、水質浄化に役立ちます。
アシなどの水草を植える
トンボがとまって縄張りを主張するための、同時にヤゴが羽化する場所として、背の高いガマやアシなどを植えます。このとき根洗いをして泥を落とすか、ビニルポットのまま植えると、アオコの発生を抑える事ができ水が濁りません。あとはお好みに合わせてヌマエビを入れて藻類を食べさせたり、ウキクサを浮かべて水温の上昇を防いでも良いでしょう。
ヒメダカを5~10匹。タニシを2匹
ヒメダカは、オスメス合わせて10匹程度。ボウフラを食べ、ヤゴの餌にもなります。掃除係のタニシを2個入れ、キンギョ藻などの水草をセット。メダカの産卵に備えます。タニシは雌雄同体なので2匹いればどんどん繁殖します。
餌を与えないで、ミニ生態系のバランスをとる
維持管理のポイントは、外から餌を与えず、ミニ生態系のバランスをとる事です。餌を与えると水が富栄養化しアオコなどの藻類の異常繁殖の原因になるのです。水草、メダカ、プランクトンの間で栄養分のバランスがとれるようにするには、よけいな手出しはひかえて、ミニ生態系のエネルギー収支が安定するのをじっと見守るのが一番です。
簡単に言えば、ほったらかしにすること。これに勝るものなし。次第に水が透き通 ってくるのを確認できるでしょう。
それでも、ミニ生態系のバランスは崩れやすいもの。ヤゴやヒメダカがふえ過ぎたら御近所にお裾分けして調整しましょう。
これらの装置は、たまり水で繁殖できるシオカラトンボや、アキアカネ、ノシメトンボ、イトトンボの仲間などが利用できます。近くに林があれば、森林性のコシアキトンボがやってくるかもしれません。このトンボは水質汚染に強いため、最近都市部で良く見られる様になってきました。
オニヤンマや、カワトンボのように水が流れていないと繁殖できないものもいます。これらの種を呼ぶには、残念ながら広い庭にちいさな流れをつくる必要があります。公園や学校の一部など、まとまった面 積が利用できるのであれば、ぜひ試してみて下さい。
あとは、減った分だけ水を足すだけ
素焼きの鉢はどんどん水分を蒸発させます。うっかりしていると、すぐに水がなくなってしまいます。頻繁にチェックして、水を補充しましょう。
まとめ
- 「呼びやすいトンボ」 たまり水に生息するものが呼びやすい
シオカラトンボ アキアカネ イトトンボ類(モノサシトンボなど) - スイレン鉢に小枝で仕切りを作る (素焼きの方が水温が安定)
- 片方に小石を入れる (表面がざらざらの石の方が水質が安定)
- 根洗いした水草を植える スイレン鉢などに産卵や羽化のために水草を植える
スイレンなどはビニルポットに入れたまま沈める (水を濁らせないため、湿原と同じ貧栄養状態にする) - 水を入れ、小石が少し見える浅瀬にする (小鳥は足が短いため、水浴びしやすい深さは1~2cm)
近所にいるほとんどの種類が利用するはず - 藻などの掃除のためにタニシやカワニナ、モノアラガイ、レッドラムショ-ンスネイルなどを二個以上入れる
- ボウフラの発生をおさえるためにヒメダカ、アカヒレなどの小魚を入れる
日なたなら10匹前後
日陰なら5匹前後 - 置き場所をきめる
カエルにも来てほしい時は鉢を地面に埋める
苦手な人は平置にするかスタンドなどにのせる
日なたの場合 アキアカネ、イトトンボ、シオカラトンボなど 開けたところが好きなので、近くに大きな樹など無い方がよい
日陰の場合 コシアキトンボ 木立の脇などがよい - 管理法
水が減ったら補充する
餌を与えずミニ生態系のバランスでやりくりする
なるべくいじらない (ミニ生態系のバランスがとれて来ると水も透き通って来る)
1種類だけ殖え過ぎたら、近所にお裾分けする
アメリカザリガニ、コイ、ブラックバスなどの悪食な生物を入れない
水辺の植物が『ビオトープ ガーデンセット』に
個人でビオトープを作るからと言って、気軽に身の回りに残された自然から珍しい水草などを採ってくるのは、ちょっと考え物。あなたのその行動が、残された自然を破壊していませんか?
開発の被害で一番大きかったのがこの水生植物との見方があります。水質浄化の点からも水生生物の保護からも危機的状況です。タキイ種苗がこういった問題の解決の糸口になればと『ビオトープ水辺の植物セット』を販売しています。中には、タコノアシや、アサザ、デンジソウといった絶滅危惧種もあり、種の保存にも前向きです。
ただしこれは、個人の庭に植えて楽しむだけなら問題ないのですが、ビオトープなどに植えたりするのは考え物。地方ごとの変異の多様性をめちゃめちゃにしかねません。どんなにささやかな生き物たちも、その生命の長い歴史物語を持っているものなのです。
蝶が舞う庭
ハーブや花々を仲人にして蝶との生活を楽しみましょう。 幼虫から育てて楽しむコーナーと、イモムシは苦手という人のために 成虫だけを呼ぶテクニックをご紹介します。
チョウは完全変態を行なう昆虫として有名。卵、幼虫、さなぎ、成虫というサイクルをその一生としています。この中で、食物を摂取するのが、幼虫期と成虫期。しかしこの二つの時期では食べ物も、口の構造もまったく違います。そしゃく口を持ち、噛むことができた幼虫は、親になるとあのぜんまい形の口吻を伸ばすことで、花の蜜や樹液だけを吸って生きていくのです。ですから庭に何を植えるかで、チョウの親と子、どちらを呼ぶかが選べるというわけなのです。
ベランダでも チョウチョが呼べる、ご近所の生態調査
一口に蝶といっても「台湾から滋賀県まで1800キロ、チョウ飛来」というタイトルで2000.08.14の新聞をにぎわせたアサギマダラから、裏庭をよたよた飛んでいるスジグロシロチョウ、かとおもえばクロアゲハやカラスアゲハのように林の縁を伝いながら、ひがな周遊コースを散策している者、山頂まで出かけて群れ遊んでいるキアゲハの雄たちと、実に様々。ですから、まずはあなたの住んでいる町でどんな蝶たちに出会えるか、お散歩や買い物ついでに調べてみることをおすすめします。庭やベランダになにを植えるのかを決めるのは、それがわかってからのお楽しみ。
チョウなどを呼び寄せるバタフライガーデンはアメリカなどで盛んです。
花の蜜で呼び寄せる方法と、産卵のための植物(食草)で呼び寄せる方法をセットで植えます。
チョウだけ呼びたいけれど、イモムシはどうも苦手という方は「食草」にあたる植物だけを注意深く庭から排除してみてください。ただし、ここで紹介しているのはチョウの幼虫のための物だけなので、ガの幼虫については責任が持てません、あしからず。
「イモムシはいやっっ!」という方は
庭に植える植物を、できるだけ多種少数の組み合わせにするよう心がけるとともに、小鳥のための巣箱や水飲み台などを置いて、イモムシやケムシを食べてもらうようにしましょう。庭の生態系が複雑に安定するほど、1種類の害虫だけが異常発生することは減っていきます。
花で呼ぶ?
成虫の好む花は種類によって色々ですが、幼虫のころの食べ物の好き嫌いの激しさに比べたら、問題にならないほど種々雑多な花に訪れます。
それでもやっぱり、大型のチョウはユリやアザレア、サルビアといった大型の花や筒型の花に多くが集まり、小さな花のペパーミントや皿形のカモミールなどには小型のシジミチョウやモンシロチョウがやって来るようです。実はこれは、花が訪花昆虫を選んでいるためだともいわれています。チョウのくちばしの長さも体の大きさでかなり違うので、蜜を吸える花がある程度決まってしまうのです。
蜜源一覧表
*は都市部でもよく見られる種
昆虫種名 | 野生種 蜜源 | 園芸種 蜜源 | 備考 |
---|---|---|---|
ルリシジミ* | 小さい花、皿形の花ハルジオン、タンポポなど | 小さい花、皿形の花、マリーゴールド、アゲラタム、デージー、 アスチルベなど各種の花 |
|
ヤマトシジミ* | 小さい花、皿形の花ハルジオン、タンポポなど | 小さい花、皿形の花、マリーゴールド、アゲラタム、デージー、 アスチルベなど各種の花 |
|
ツバメシジミ* | 小さい花、皿形の花ハルジオン、タンポポなど | 小さい花、皿形の花、マリーゴールド、アゲラタム、デージー、 アスチルベなど各種の花 |
|
ベニシジミ* | 小さい花、皿形の花ハルジオン、タンポポなど | 小さい花、皿形の花、マリーゴールド、アゲラタム、デージー、 アスチルベなど各種の花 |
|
ミドリシジミ | 各種の花、クヌギなどの樹液 | 小さい花、皿形の花、アゲラタム、アスチルベなど クヌキ、コナラの樹液 | 都会では呼びにくい |
ヒオドシチョウ | シダレヤナギ、ネコヤナギ ウツギの花や クヌギなどの樹液 |
ウツギ、バイカウツギ、クヌキ、コナラの樹液 | |
アカタテハ | 各種の花や腐った果実 | 中型の花、皿形の花、ヒャクニチソウ、アザミ、フジバカマなど | |
ヒメアカタテハ | 中型の花、皿形の花 | 中型の花、皿形の花、ヒャクニチソウ、アザミ、フジバカマなど | |
オオチャバネセセリ* | アザミやオカトラノオなど各種の花 | 中型の花、皿形の花 ヒャクニチソウ、アザミ、フジバカマ、 アリウム、サルビア類など |
|
キアゲハ* | 赤い大きい花などユリ、ツツジ、ヒガンバナ、ヤブガラシなど | 中型の花、皿形の花 ユリ、ツツジ、シャクナゲ、カサブランカ、ブッドウレア 、リコリス、コスモスなど |
|
ナミアゲハ* | 赤い大きい花 などユリ、ツツジ、シャクナゲ、ヒガンバナ、 クサギ、ヤブガラシ |
赤い大きい花 カサブランカ、ブッドウレア、リコリス、コスモスなど |
|
クロアゲハ* | 赤い大きい花 などユリ、ツツジ、シャクナゲ、ヒガンバナ、 クサギ、ヤブガラシ |
カサブランカ、ブッドウレア、ア、リコリス、コスモスなど | |
アオスジアゲハ* | 白い小さい木の花、ヤブガラシ、ミズキ、イボタノキ、ネズミモチ、シャリンバイ シャリンバイなど | 白い小さい木の花ミズキ、イボタノキ、ネズミモチ、シャリンバイ など | 白い小さい木の花 草の花にはほとんど来ない |
カラスアゲハ | 各種の花、特にツツジ、アザミ、ヤブガラシ | カサブランカ、ブッドウレア、ア、リコリス、コスモスなど | |
スジグロシロチョウ* | 小さい花、皿形の花 | 小さい花、皿形の花、アゲラタム、アスチルベ、 マリーゴールド、ブルーサルビア、キバナコスモスなど |
黄や紫の花、赤にもくる |
モンシロチョウ* | 小さい花、皿形の花 | 小さい花、皿形の花、アゲラタム、アスチルベ、ビオラ、ブッドウレア、ラベンダー、 マリーゴールド、ブルーサルビア、キバナコスモス |
黄や紫の花、赤にはほとんどこない |
モンキチョウ* | 各種の花、特にアザミ | 小さい花、皿形の花、アゲラタム、アスチルベ、ビオラ、ブッドウレア、 ラベンダーなど |
食草一覧表
イモムシから育てて、我が家ブランドのチョウたちを巣立たせてみたい方は、ぜひ食草を植えてみてください。これは、場合によっては花でチョウを呼び寄せるときよりもはるかに確実に呼べます。卵を産める植物のある場所は、住宅地などでは極端に限られるので、チョウの方も必死で探すからなのです。ですから、一度見つけた場所は忘れずに何回もやって来ては卵を産みつけます。
そのうえ、 幼虫たちの食欲はものすごい。小さめのミカンの木なら、たった数匹であっという間に葉を食べつくしてしまいます。イモムシが多すぎるようなら、ご近所さんやお友達にお裾分けしましょう。野生の食草が生えているところを、前もって調べておくのも一つの方法です。それはハーブ類に関しても同じこと。人間の食材用としても育てたいなら別 の鉢や場所を確保します。
確かに、とっても効率の悪いことを言っているのは承知しているのです。イギリスの民話や童話には「半分は、妖精のためにとっておく」という言い回しがときどき出てきます。これは、日本とは比べ物にならないほど、貧相な生態系の多様性しか残されていない場所で、何とか生き延びてきた人たちの知恵とも考えられます。日本の山菜取りの人たちが「半分は来年のために残しておく」と言うのとを比べてみると、何となく配慮の質が違うように思えてきます。自分だけのためや生産効率ばかりを追い求めるうちに、何かもっと大切な物を失ってきたのは、僕たち自身だったのではなかったでしょうか?
蜜源一覧表
*は都市部でもよく見られる種
昆虫種名 | 野生種 食草 | 園芸種 食草 | 備考 |
---|---|---|---|
ルリシジミ* | マメ科のフジ類やハギ類、、バラ科、ブナ科、ミカン科、ミズキ科、タデ科などの花や若葉 | ストロベリーキャンドル、フジ、ハギなど | |
ヤマトシジミ* | カタバミ科 カタバミなど | オキザリス?(未確認) など | 芝生のカタバミを食べ増加幼虫時代にアリとの共生関係を持つ |
ツバメシジミ* | シロツメクサ、コマツナギ、メドハギ、ミヤコグサなどの花 | ストロベリーキャンドル、エンドウ、ダイズ、 フジ、ハギ、ミヤコグサなど |
|
ベニシジミ* | タデ科 スイバ、ヒメスイバ、ギシギシ、ノダイオウ | ソレル、ルバーブなど | |
ミドリシジミ | カバノキ科ハンノキ、ヤマハンノキなど | ハンノキ、ヤマハンノキなど | |
ヒオドシチョウ | ニレ科エノキ、ハルニレ、ヤナギ科ヤナギなど | エノキ、ハルニレ、ヤナギなど | |
アカタテハ | ニレ科ケヤキ、ハルニレ、イラクサ科カラムシ、ヤブマオなど | ケヤキ、ハルニレ、ネットル、など | |
ヒメアカタテハ | キク科 ヨモギ、 タンポポなど | ヤグルマギク、アザミ、ゴボウ、ダイズなど | |
オオチャバネセセリ* | イネ科 ススキ、チガヤ、エノコログサ、アシ、ササ、タケなど | リボングラス、ヤバネススキ、シマススキなど | |
キアゲハ* | セリ科 シシウド、ミツバなど | ニンジン、パセリ、セロリ、フェンネル、アンジェリカ、 レースフラワーなど |
|
ナミアゲハ* | ミカン科 サンショウ、カラタチなど | レモン、ユズ、ダイダイ、キンカン、ミカン、ルーなど | |
クロアゲハ* | ミカン科 サンショウ、コクサギなど | レモン、ユズ、ダイダイ、キンカン、ミカン、ルーなど | |
アオスジアゲハ* | クスノキ科 クスノキ、シロダモ、クロモジ、ヤブニッケイなど | ゲッケイジュ、ニッケイなど | 街路樹のクスノキを食べ増加 |
カラスアゲハ | ミカン科 キハダ、カラスザンショウなど | レモン、ユズ、ダイダイ、キンカン、ミカン、ルーなど | |
スジグロシロチョウ* | アブラナ科 ナズナ、イヌガラシ、タネツケバナなど | ナスタチューム、ダイコン、クレソン、ストック、 ウォールフラワー、 スイートアリッサムなど |
ビル影を好み増加 |
モンシロチョウ* | アブラナ科アブラナなど | アブラナ科キャベツ、ルッコラ、ブロッコリー、ハボタン、など | 元々栽培植物を好む |
モンキチョウ* | マメ科 シロツメクサ、スズメノエンドウなど | ストロベリーキャンドルなど | 芝生のシロツメクサを食べ増加 |
蝶の庭のポイント
1.近所で見かける呼びたい生き物をきめる (呼びたくない生き物も)
2.場所をきめる
- 日向なら、ほとんどの果樹、蜜の多い花木や花壇用草花、野菜、ハーブ類の組み合わせが可能
- 日陰では、日陰が好きな植物や日陰でもたえられる植物に限られる(斑入りの植物を多用すると明るい印象に)
3.ガーデンスタイルをきめる
- キッチンガーデン風なら 果樹、野菜、ハーブ類を中心にまとめる
- ナチュラルスタイルなら ボーダーガーデンの手法を参考に (手前にも少し、背の高い植物をうえると自然な感じに)宿根草などを上手に組み合わせる。
- その他、和風、コンテナなど好みにあわせて植物を選ぶ
4.管理法
蝶の庭 生命のゆりかご展
東京ガス銀座ポケットパーク
’97/5/22~6/24から。ナツミカン、ゲッケイジュ、クチナシ、
ヤマユリ、ラベンダー、レモンバーム、
ナスタチューム、アゲラタム、
ブルーサルビア、マリーゴールド、
セロリ、パセリ、ブロッコリー、
キャベツ、バジル、カレンソウなど
- のんびり待つ
- 花がら摘み、剪定などは最小限にとどめる
草取りも程々に(小鳥や虫たちが利用するため) - いも虫など1種類だけ殖え過ぎたらお裾分けする
(小学生のいるご近所に観察日記などを薦めれば、何とかなる?) - 半分は生き物たちの物と割り切るか、人間用は別のところに置く
まち水で呼ぶ
幼虫がすみ慣れた食草を離れて
姿が見えなくなったら、 さなぎになる
ための移動を開始したのかも知れま
せん。 雨が当たらない鳥の目に
つきにくい場所を探してみましょう。
幼虫からビロードのような翅を持つ
チョウへと羽化する瞬間に出会えるかも
夏の午後、庭先に水をまいて、涼しくなったらお昼寝。と、思ったら水たまりにチョウが。なんて言う経験はお持ちですか?
アオスジアゲハは白っぽい木の花やヤブガラシの蜜が好きなので、花壇にはなかなか降りてきてくれません。でも、暑くてよく晴れた日には水溜まりにやってきて、アゲハチョウたちと一生懸命吸っている様子を見ることができます。もし池があるのなら、泥の露出したなだらかな岸辺を作るのもよいでしょう。
樹液で呼ぶ
ゴマダラチョウやヒオドシチョウ、キタテハ、ジャノメチョウなどは、花よりもクヌギやコナラ、ヤナギなどの樹液や、腐った果 実の汁を好みます。