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東京都の水瓶、狭山湖に植物調査に行ってきた。そこで見つけたのが、これ。
今年は水源林100周年の年。狭山湖は今、ダムの地震対策の補強工事をしている。工事に先立つ環境調査が何年も前からおこなわれており、僕も数年前から参加していたけれど、今年になってはじめてこの花を見ることができた。生育期間が極端に短いので、調査時期を上手に合わせないと、なかなか発見できないのだ。もちろん東京都では、保護対象の植物に指定されています。栽培は困難なので、採っても枯らすだけです。見つけても写真だけにして下さいね。

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カタクリErythronium japonicumは世界に誇る日本の花の一つ。学名の japonicumはもちろん「日本の」と言う意味。昔はカタカゴと呼ばれ、根からは片栗粉が採られた。現在売られているカタクリ粉はジャガイモから採ったデンプン。葉や花もおいしい山菜だ。
氷河期の生き残りであるこの植物は、北に行くほど普通に見ることができるが、東京ではごく限られた所にしか残されていない。早春の一時期だけ葉と花を伸ばしあっという間に結実して、新緑が広がり林内が暗くなる頃にはもう枯れている。残りの時期は地中の球根で過ごすのだ。これは厳しい氷河期の頃に身につけた生活のサイクルを、かたくなに守り続けているためだ。

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ヒロハアマナTulipa latifoliaは日本の野生のチューリップ。摘んで食べるとほのかに甘い春の山菜でもある。これも氷河期の生き残り。雑木林の手入れをしなくなると消えてしまう。アズマネザサがはびこると、カタクリと同様の短い光合性の時期を逃してしまうからだ。
これでギフチョウが生息していれば氷河期の生き残りの生物層の御三家がそろう訳だが、残念ながらいないようだ。

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絶滅危惧II類(VU)
ヒロハノアマナ:Tulipa latifolia
:ユリ科:対象地域は、群馬、埼玉、山梨、岐阜、静岡、愛知、滋賀、広島、(福島、栃木、東京、三重、京都、大阪、兵庫、徳島、熊本)。見つけても栽培は困難ですから、採らないようにしましょうね。

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冬眠から覚めたばかりのテングチョウが、コナラの落ち葉の上でひなたぼっこをしていた。